深み……ロシアの冬の情景@ブラオケ東京発
1/07 '13 追記しました。
ブラボー!オーケストラ
NHK-FM 2013.01.06. Sun. 19:20-20:20
解説 吉松隆 (作曲家)
今週は東京からの放送です。
開口一発、「センセ、カゼひいておられる…」@12月18日の収録。
大河疲れのようですね。センセ、是非、思う存分、休んでください。そしてお元気な姿をファン一同楽しみにしています。
- 東フィル 第811回サントリー定期シリーズから -
「交響曲 第5番 ホ短調 作品64」 チャイコフスキー作曲
(47分02秒)
(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団
(指揮)尾高忠明
~東京・サントリーホールで収録~
<2012/2/24>「ハンガリー舞曲 第6番」 ブラームス作曲
(4分20秒)
(管弦楽)東京フィルハーモニー交響楽団
(指揮)小林研一郎
~東京オペラシティコンサートホールで収録~
<2012/1/29>NHKのサイトより。
(1/07 '13) お待たせしました。吉松センセの解説の要約です。
チャイコフスキー 交響曲第5番……私も大好きで、正月向き!? 祝祭的な感覚が最終的にはする。1月初のブラボーオーケストラには相応しいかも!?
チャイコフスキーはご存知のように全部で6つの交響曲を書いている。20代の後半から1、2、3、4、という間は3、4年、長くとも5、6年というスパンで書いているが、4から5の間は10年くらい空いている。50歳になる直前くらいに5番を書く。久しぶりに書いた交響曲はかなりの力作で、第5だからか、50代をひかえてということか、多少、祝祭的な華やかなイメージとなっている。
ただ曲は、冒頭は非常に暗いトーンで、「運命のモティーフ」と言われる~~これを記憶しておいて下さい~~このテーマがいろいろな形に変えて、最終的には勝利・祝祭・華やかなフィナーレまで持っていくという、交響曲の作曲法の妙技が全て開陳されている、という点でもチャイコフスキーの代表作といえる。
全体は「運命のモティーフ」暗いテーマで作られている。
第2楽章のアンダンテ・カンタービレ……非常に美しい、ホルンのメロディが聴きもの。
第3楽章はワルツ……交響曲ではちょっと珍しいが、チャイコフスキーはワルツが得意。ワルツの美しさがさく裂。
第4楽章では今までのものが統一され、運命のモティーフが、暗いところから非常に明るい、華やかなレベルまで引き上げられて、輝かしいフィナーレに持っていく。……チャイコフスキーの作曲技法、オーケストレーションの素晴らしさ。非常に効果的な作り方になっている。
全4楽章で50分近い大作。今回の演奏では約47分。
特に、管楽器の響き。緩急様々な……チャイコフスキーが得意な、ピアニッシモからフォルティッシモまでの広いダイナミクス、非常にゆっくりの美しいメロディから非常に急速な、スピード感のある語法、そしてオーケストラをフルにばんばん鳴らす鳴らし方まで、この第5番ではチャイコフスキーの作曲のポイント、今までバレエ音楽、オペラ、シンフォニーでやってきた、いろいろな長所が、全てこの交響曲に集約されているという感じがする。
私もこの作品~~4番、6番というのも、非常にプライヴェートな、内情を吐露する、という意味では非常に好きだが~~5番は交響曲としてのバランスの良さ、聴いていて微塵も飽きさせることもなく50分くらい聴かせてしまう作曲の技法という点からしても、チャイコフスキーの中でぴか一の作品の一つだと思う。
♪
冒頭の、非常に暗~いトーンで始まるクラリネットのテーマ、最後に、ここまで華やかに祝祭的に壮大に鳴り渡る、というのは、交響曲を聴く一種の快感!?
昔から5番は、BGMとしてちょっと気楽に聴き出すと、どうしても最後まで聴き入ってしまう、なかなか逃れられない、すごい曲だと思う。
曲の途中に、時々、ふっと止まる瞬間があるが、これも非常に効果的に使われていて、なかなか、どきどきする曲。力の入れ方、抜き方、非常に難しいこともあって、煽るだけでは済まない曲でもあるので、(演奏は) 手綱の締め方が難しいが、素敵な尾高さんの演奏で聴いていただきました。
チャイコフスキーの交響曲第5番は、初めて聴いた気がします。
first impression としては、もう、これしかない「ロシアの冬の情景って、こんな感じなのかもしれない。」
それは、シベリウスの6番とか聴いた時の、「フィンランドの冬の情景って、きっとこんな感じなのかも!?」とは、全く違う、ロシアっぽいちょっと灰色がかった情景。
そして、マイナーながら、もの凄く深みを観じました。
深み。余談ですが、あの「アストロボーイ・鉄腕アトム」ちょうど10年前にテレビで放映されたんですよね。初回はアトムの誕生日の4月だったのですね。初回だけ私、観たんです。子供の頃、本家本元の鉄腕アトムをいつもテレビで観ていたもので、それとは全く世界が違っていて今風だったので新鮮だったのを覚えています。
そして、音楽ですが、作曲者がどなたかは全く存知あげることはなかったのですが、これだけは思ったのを忘れられません。
「音楽、深いな……。」
なんか、10年前のあの「深いな。」を、このチャイコフスキーの5番で思い出しました。
全く関係はないけど………余談でした。
そして、今、オーケストレーションをお勉強しだして、ひとつひとつの楽器の音に耳をすませばすますほど、あーなんて楽しい!チャイコフスキーが、オーケストラの楽器という駒を自在に操って、楽しく作曲する様子が音から伝わってくるんです。
(o^-^o)
八重の桜が始まってしまった……にもかかわらず、清盛OPスコア写譜がまだ終わっていません……。
あと、もう少しです。今日は、55~60小節。
いや、実はお正月にワタクシ、風邪をひいてしまいまして……。
ですが、段々と、スコアが出来上がっていく様子を見ていると、うれしくなってきます♪。
追記♪1/07 '13
作曲技法を学ぶ…… 様々な曲の構造、構成だとか…… というのは、もうこれは、実際の楽曲との出会いの度に (それも自分が気になった曲の) 気になる箇所から知り得て学んで、その上で自分自身の作曲で使いたくなったら使う。知らなければ使えない、知っている方が使いやすいと思います。
作曲家になろう、なんて微塵も思っていなかった (←という言葉を鵜呑みしないでくださいね。潜在的にはそういった意識はずっとあった) 頃聴いた曲や (その中にはテレビで流れていた歌謡曲とかも含む)、ピアノや電子オルガンで弾いた曲で、これは (構成的に) 面白いなー、という楽曲といろいろ出会ってきました。
今回のブラオケも、交響曲作曲家の解説はとても説得力がありました……面白いですね、作曲って!!。
あと、音楽以外、例えば文学作品や映画、テレビドラマとかも、作曲に応用できるアイディアの宝庫だと思います。
それは、子供の頃学校で、国語の教科書で読んだ本とか、いつも観ている大河ドラマとか、なんでもヒントになりますね♪。
「平清盛」では最初に時間的に一番ラスト (政子が頼朝に平家滅亡を報告するシーン) を持ってきて、本当に総集編のラストでそれを再び持ってきて、観ている人が「ああ、そういうわけだったのか!」とラストもラストで気づかされる、あれは面白かったですね。
昨日初回を観た「八重の桜」では、一番冒頭のシーンがアメリカの南北戦争、というのにはちょっと度肝を抜かれました。「これから始まる話と、どういう関係があるの?」と思ってしまいましたがそれは、後ほどわかるのかもしれません。その後に八重が鉄砲持って戦う、いわゆるこのドラマの一番の見どころをいきなり見せてくれて (カッコよかった!!)、その上でやっと、幼少期のお話がスタートする、という……。
本当は、あれもこれもと読んだり観たり視たり聴いたりしたいのですがなかなか時間がなくて……。
でも大切なのは、そういったものへの感受性ではないかな!?
感受性さえあれば、別にヤ○ハ音楽教室なんて行かせなくても、学校の授業や、テレビやインターネット、街中で流れている些細なBGMさえも重要なヒントを与えてくれたりするものです。
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