連載 『ラヴェル作曲「ボレロ」を徹底分析!』
My finale に、スコアを作成しながら、この名曲の秘密をさぐりましょう、というプロジェクトです。
「finale写譜」は、145小節まで。リハーサルマーク [7] ラストまで進みました。
ここで、未だブログに書いていなかった、リハーサルマーク [3] からの、音楽的解説をまとめてみます。
スミマセン、finale の画面の添付は後ほど。コレ、ものすごく疲れるんです!!。
追記♪3/7 '12
興味深い箇所、finale 画面を添付してみました。
興味ある方はどうぞ拡大してご覧ください。
(o^-^o)
[3] 57小節~
フルート 1 が刻んでいた「リズムその1」(スネアドラムと同じリズム) は、ここから フルート 2 に交代します。
強弱記号が付いていないのですが、フルート 1 と同じ p ということになるかな!?
ハープは、ここから今までのハーモニクス奏法をやめて、(演奏上では) 8va. 上の弦を 「どれみ、しbどれ」のように、相変わらず固まった音~「リズムその2」(四分音符中心のもう一つのリズム) を mp で奏でます。

ちなみにハープは [3] のラストまででひとまず一段落となります。
ヴィオラとチェロのピチカートですが、音の増えた箇所と減った箇所があります。
↓直前の2小節とご比較あれ♪

そのことでもしかしたら [2] よりも 1拍目と3拍目がより強調される……ハズなのですが、どうなのでしょうか!?。
59小節~
「メロディその2」のリピートです。
直前のファゴットに代わって、Ebのクラリネットが p で高い音を響かせます。
65小節~
ヴィオラのピチカート、2拍目にもう一個のG音が再び加わります。このことで2拍目が少し強くなるハズなのですが……。

本当に、びみょ~~な違いですよね。
67,69,71 小節、
ハープの五線の上に表記されている、それぞれ「Bナチュラル」「Bb」「Ab」は、ペダル操作の指示かと思われます。
[4] 75小節~
ファゴット 1 と 2 が交互に「リズムその1」を mp で刻むのですが、2本のファゴットの重なり部分が面白いのです。

結果として2小節&4小節ごとの周期的なリズムをつくり出しているようです。
2小節ごとに同じ個所、1音だけ、スタッカートの音符と、そうでない音符が交互に繰り返します。やはりびみょ~~な音・リズムの揺れです。
今までヴィオラとチェロで刻んできた、ピチカートの「リズムその2」、ここで 2nd. Vn. と ContraBass が仲間に加わります。
2nd. Vn. が2セクションに分かれて、それぞれ9thを含んだ2音を p で刻みます。

77小節~
「メロディその1」からの 2nd turn がここから始まります。
オーボエ・ダモーレ (A) が mp で奏でます。
[5] 93小節~
ここから「リズムその1」を、ホルン 1 (F) が p で刻みます。
弦のピチカートも更に音数が増えます。
2nd. Vn. に代わって 1st. Vn. が2セクションに分かれそれぞれ3音 (一部2音) を p で刻みます。
ここから高い音が増えます。

95小節~
ミュートをつけたトランペット (C) が mp で、同時にフルート 1 が ppで「メロディその1」をリピートします。
本日はここまで。今日のところは文字だけでスミマセン。
finale 写譜、学ぶことが多い半面、大変神経と頭を使い、疲れてしまいます。
でも、じっくりスコアを読み倒す中でしか気づくことのない、細かい箇所に気づくのです。
モーリス・ラヴェルという天才作曲家の極意の一端がそれら音符の端々に活き続けている。
ですから楽しいです。
あまり一度に……とは思わず、少しずつやることとします。
3/7 '12 追記その2♪
びみょ~~ なリズムの変化、揺れ。
もちろん意味のないものは一つもないわけです。
ラヴェルはここまでディテールにこだわっていたのですね!!! 皆さん驚きませんか!??
恐らく、ただ聴いて楽しんでいただけでは、それらの「かくれキャラ」(笑) に一生気づくことがなかったかもしれません。
また、単に音が少しずつ増えていく一方ではなくて、意味あって一時的に音が減る箇所、一旦休むパートが存在することにも今回気づきました。
この調子で、早めに、リハーサルマーク [6] 以降の、finale 画面付きレポートも作成いたしますのでお待ち下さい。
ところで、先日書きました、
【Tenor Saxophone (Bb) って、こんなに高い音出るの!??。】ですが、
[完本] 管絃楽法 (伊福部昭著・音楽之友社) 169頁で確認しましたが、サクソフォン群は、記譜の範囲は全てF♯3-C5 あたりと決まっているのだそうです。
ですから、テナーサクソフォンでしたら、記譜よりも実音は 8va. (+長2度) 低くなることがわかりました。
それから、「ボレロ」に出てくる、レアな楽器……オーボエ・ダモーレ、ソプラニーノ・サクソフォンetc. ですが、
どうなのでしょう、楽器の奏者の演奏技術の発達によって、一つ低い音域の楽器の奏者が、より高い音を奏でることができるようになって、必要なくなる ∴自然淘汰されてしまう、ということが実際にあるようですね。
いづれにしましても、作曲家のムリな要求は決して悪いことではなくて、演奏家の技術を向上させるようです。
♪♪♪
久しぶりに、「ファンタジア」 (20年まえにTDLキャストをやっていた時に購入したVHSビデオ) 観ました。
時間の都合で、本日は「トッカータとフーガ二短調」「くるみ割り人形」 まで。
何度も涙が出ました。一緒に横から見ていた父も大喜びでした。
CGのなかった時代に、これほどまで素晴らしい映画を創ることができたなんて……。
「トッカータとフーガ……」は、これは、いづれか私がオーケストラ編曲をしてみたいなぁ~と、思いました。
3/4 の「FMシンフォニーコンサート」 指揮者の上岡敏之氏のプロフィールのお話が大変興味深かったのです。
芸大で指揮を学ばれた後にホテルマンになっておられるのだとか。その後一念発起して、コンクールにエントリー、ではなくてヨーロッパのオーケストラを転々と指揮していわゆる「たたき上げ」で指揮者になられた、というお話でした。
恐らく………独裁者的な指揮者の時代は、カラヤン、バーンスタインの死去と同時に終結してしまったのだと私は (も) みています。
ひとりひとりの個性と意欲を指揮者のエネルギッシュでひたむきなオーラで引き出す・導く、というのが今の時代の指揮者像なのではないかな。
だから、常にどんなお客様の前でも謙虚に腰を低くしなくてはいけない、ホテルマンという職業から氏が学んだことは多いのではないか!? それは私も同感です。
ホテルマンという経歴を隠す必要は全くないしむしろ大々的にアピールしていいのだと思います。
音楽の神さまは、才能ある人であればそういった一見音楽とどういう関係があるの!? みたいな修行をお与えになることがあるのでしょう。
伊福部先生の[完本]管弦楽法 は、確かに読み物としては大変に読みにくい本なのですが、
なにか疑問が生じて、それを知りたいと思った時に、本棚から取り出してその箇所を開くと、ものすごく的を得たような答えがこの本からいただけます。
24,000円 (+税) です。あなたのうちにも一冊いかが!??
(;^ω^)
最近のコメント